CBD-COP10会期中を通して、ニュースレター『eco』の中にもサイド・イベントの発表においても、何度かくりかえし現れた次のようなキャッチコピーがある。
Life is not a business.
Life is not for sale.
Mother Earth is not for sale.
なんと的を得た表現、いや主張だろうか。
今、多くの人がこのようなことを感じ始めている。
自然現象の規模や農林水産漁業から上がる利益をお金の額に換算することは、COP10の外でもしばしば行われる。たとえば、このハリケーンによる被害は何千万ドルだとか、本年、北九州地域の4県において生態系が健全に機能して大きな自然災害などによって収穫が邪魔されなかった場合、そこから得られる農林漁業の産物すなわち自然の恵みから得られる利益を試算すると全体で何兆円になる、という具合に。
こうした説明には説得力がある。お金に換算するとは、数値化するということである。何でも数値に還元されると、話が単純になりわかりやすくなる。単一の尺度を当てると物事が数字の多寡によって直線的に表示され、比較することができるようになる。それを見ると人は、その現象に関して何かがわかった気になる。